戦後70年が経過した今だからこそ読んでほしい本です

book12最近読んだ本で「昭和16年夏の敗戦」という作品があります。これは前都知事であった猪瀬直樹氏が書いたノンフィクションの作品で、昭和16年当時、30代前半の若手官僚や一般企業から集められた人たちによって「もし今の状況で戦争をやったらどうなるのか」ということをシミュレートさせていたという事実を、昭和50年前後に存命だった方々の証言を集めて仕上げた一冊です。
私自身の知識が疎いせいもありますが、もっと直情的に太平洋戦争へと突き進んだとばかり思っていたので、このように色々と想定していたとは驚きです。
また作中で描かれる東条英機像も意外でした。確かに陸軍大将時代には戦争を推進する立場として、その強権を発動させていましたが、一転して首相になると昭和天皇の意を汲んで戦争反対の立場を取っていたとは……。
さて、肝心のシミュレートの結果ですが、100%日本が負けるという結果になったそうです。

理由は石油の備蓄量。どうしても輸入に依存せざるを得ない石油に関しては、この輸送網を絶たれた時点で戦争の継続は不可能になってしまうのです。そして、実際に東南アジアのこのルートを断たれることによって、日本の戦況は一気に悪化していきました。
ではなぜ、このようなシミュレートがあったにもかかわらず戦争に突き進んでしまったのでしょうか。この本にはそこを深く洞察する内容は描かれていませんが、先般あった「国立競技場問題」でも露見したように、責任の所在が曖昧なまま止めることができなくなってしまったのではないでしょうか。
戦争推進の方も、反戦の立場の方も、是非とも読んでいただきたい一冊ですね。私自身も非常に考えさせられました。